私の友人にシングルゴルファーがいます。
彼は僕の2歳上で某有名大卒。
現在は研究職でエリートとインテリを混ぜ混ぜしたようなやつです。
普段の生活でもひとつのことに集中すると周りの音が消えてのめり込むタイプでゴルフも自分の1歩も2歩も上をいきます。
そんな彼ですが、プライベートでは気さくでお茶目な一面もあって
飲んでる時やラウンドする際に研究者だということをイジり倒す僕に対して
逆に研究者ぶって?
ゴルフスイングの飛ばしの法則を研究したレポート化して送ってくれました。
半分ウケ狙いで送ってくれたものの
冗談1:本気9くらいな感じでかなりのクオリティです。
折角なのでこちらのブログに掲載していきたいと思います。
彼がこのレポートに割いたプライベートの時間×彼の能力を考えるとこんなブログで掲載
していいのか・・・なんて思いますが。
折角なので皆さんに共有です。
目次
今回は前編です。
それではとくとご覧あれ。
タイトル:効率の良いスイングのための物理的考察
(1) 緒言動機
「ドラインビングディスタンス」、これはゴルファーにとって夢であり憧れでありロマンである。
ライト兄弟が大空を舞う鳥を見て空を飛びたいと思ったように、ビックドライブを目の当たりにすると誰もが「自分ももっと遠くへ飛ばしたい」と願って止まない。
とまぁ前置きはこの辺にしといて…とにかくまぁボールを飛ばしたいと考えた時に、 何が必要かを考える事にした。
そうは言っても体格やパワーなどには個人差がある訳で、 その辺はどうにもならん部分があると思ったので、 まずはどうやってクラブを振れば一番効率良くボールを飛ばす事ができるかを考える事にした。
ただ飛距離という枠で考えると、ボールへの衝突、ボールのスピン量、打ち出し角など様々な要素がありすぎるため、 さらにフォーカスして「ボールとの衝突直前でクラブが最大の勢いを持っている状態にするためにはどうすればいいか」を考える事にした。
(2) 下調べで生じた疑問
まずはネット上に転がっているスイングに関する考察やレクチャーを片っ端から読んでみた。
特にクラブの運動量やエネルギーについて言及しているものについては注意深く読んでみた。
大方の理論は「背骨を軸とした回転運動」として語っていた
(図1)
このようなクラブヘッドを質点とした円運動モデルの場合、ヘッドスピード vは rωとして表される。
ω は1秒間にどれくらいの角度を回転するかを表す角速度、 つまり回転速さを表す物理量だが、簡単に言えば長いものを持って早く回せばクラブヘッドは速く動くという事である。
これ自体は納得できるが、 これらの理論の中で幾つか気になった表現があった。
- 1. 出せるパワーが同じだとすると体重は関係なくシャフトや腕の長さがヘッドスピードを上げる
- 2. 慣性モーメントをできるだけ小さくして、 角速度を速める事によってヘッドスピードを上げる
この文章だけ眺めると一見正しい事が書かれている気がするが、 図1のモデルに当てはめて考えるとなんとなくおかしい気がする。
まず①に関して、 体重が関係ないのは何となく想像がつく。
たとえば時速40kmで走るトラックに当たるのと、時速40kmで走る自転車から出てる棒に当たるのでは、 痛さがあまり変わらなさそうだからだ。
もう少しそれっぽい事を言うのであれば、 おそらく衝突する2者の重心がずれている事、 さらには棒とトラックないし自転車の関係は剛体でないためだ(この辺は適当)。
またシャフトの長さが長い方がヘッドスピードが上がる、 というのも回転半径が upするので妥当な気がする。ただ腕の長さに関してはどうだろうか。
確かに図2のように手が長ければ回転半径が増えるのだが、 その量は手が伸びる量よりも小さくなる。 例えば腕の長さが
50cmだとして背骨(=回転軸)から手までが20cmだとすると、そこから1 0cm伸びても回転半径は20×60/50=24cm、つまり4cmしか増えない。
これは言及する程の量であろうか?
もしこれが有益なのであれば、 図3のように前傾を深くし両手を軸から遠ざけた方がいいという事だろか?
そうであればそもそも両腕を軸に対して垂直方向にまっすぐ伸ばした方がいいという事になる。
そんなの打てる気がしない。
図2
図3
②についてはなかなかイメージしづらいが、 要は半径を短くした方が角速度を速くしやすいという事である。
これの説明でよく引き合いに出されるのはフィギュアスケートのスピンで、 腕を広げてくるくる回ってる時に腕を体の近くに寄せると、 急激に回転スピードが速くなるアレだ。
このからくりは角運動量(回転運動の勢い)の保存則に基づくものである。
この回転運動の勢い Lは位置(半径)r において先端が pの運動量(この勢いは直線運動の勢い)を持っているとすると L=r×pと表される。普通の運動量 pは m(重さ)×v(速さ)で表されるので L=rmvとなって円運動の vはさっき出てきたように rωで表されるから L=(mr^2)×ωとなる。故に腕の長さ=半径=rが小さくなった場合、 Lを変えちゃだめなので角速度ω が勝手に増えるという事である。
そしてこのカッコの中(mr^2)が「慣性モーメント」と呼ばれるものである。話をゴルフに戻すと、この慣性モーメントを小さくする事(肘や手首を曲げてクラブを体に巻きつける感じ) によって角速度を上げて、 回転スピードを上げてやろうという事である。 でもちょっと待った、ヘッドスピードって v=rωだからω上げても r縮めたら意味ないやんか。 ってか結局運動量が保存するなら腕の曲げ伸ばし(rの増減)意味ないやんか。 それならコックとか全くいらんやん、 と思うかもしれないが、 前章で出てきた「慣性モーメント」というのを考えると、 そうでもなかったりするのだ。 この辺りの説明は、 また後で詳しく述べる。
これらの疑問から、 おそらくモデルを簡素化しすぎて、 ゴルフスイングにおいて考えなくてはならない要素が抜け落ちているのでは!?と思った。
・・・いかがでしょうか?
ここまでで感じて頂きたいこととしては
みんなが
なんとなく当たり前だと認識していたことを鵜呑みにせずに
何故だろう?
どうしてだろうと考えている点に注目して頂きたいです。
では是非後半も御覧ください。
おわり。